
川口市芝地区に位置する名刹・長徳寺が、今、鮮やかな山吹色に彩られています。鎌倉建長寺の流れをくむ臨済宗の格式高い境内は、一歩足を踏み入れると市指定天然記念物のビャクシンが堂々とそびえ立ち、静謐で凛とした空気が流れています。
現在、東門から入ってすぐの檀信徒会館近くでは、ヤマブキの花がちょうど見頃を迎えています。4月から5月にかけて開花するヤマブキは、古来より日本人に親しまれ、万葉集にも数多く詠まれてきました。一重や八重など豊かな表情を見せるその花は、庭木としても愛され、私たちの春の記憶に深く刻まれています。
ヤマブキにまつわる有名な物語といえば、太田道灌の「山吹伝説」でしょう。急な雨の中、蓑(みの)を借りに立ち寄った道灌に対し、村の少女は一輪のヤマブキを差し出しました。そこには「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞかなしき」という和歌にかけ、お貸しできる「実(蓑)」がないという奥ゆかしい言葉が添えられていました。
花言葉は「気品」「崇高」、そして黄金の色にちなんだ「金運」。長徳寺の静かな境内で、古(いにしえ)の人々に思いを馳せながらこの美しい花を眺めていると、日常の喧騒を忘れ、背筋が伸びるような心地になります。
皆さんも、春の陽光を浴びて輝くヤマブキの花を愛でに、ぜひ長徳寺を訪れてみませんか。心がふんわりと軽くなるような、黄金色の景色があなたを待っています。
